2022年12月22日木曜日

TOPPERS/ASP - AVR32版 その1

TOPPERS/ASP - AVR32版 概要

ちょっとしたデバイス作成に、業務に趣味にと大人気のMicrochip社の8bitマイコン「AVR」。

そのAVRマイコンに32bit版があったなんてご存知でしたか?

今回取り上げるのは、その「AVR32」です。

AVR32UC3A3


詳細は英語にはなりますが、このページを御覧ください。

かつては「AP7」と「UC3」の二種類のコアを販売していました。

「AP7」は、いわゆるアプリケーション・プロセッサーというべきもので、Linuxも動作するほどの高い性能を持っていました。

一方の「UC3」は、マイクロプロセッサー、いわゆるマイコンと呼ばれるカテゴリーに属します。

今回取り上げるのもこの「UC3」の方です。

ARMでいうところの「Cortex-A」コアが「AP7」に、「Cortex-M」コアが「UC3」に相当すると思えばイメージし易いですかね?

共にAtmel社の独自設計、8bitのAVRとは全く異なる設計思想の32bitRISCコアとなります。

このAtmel社が辿った運命、この記事でも触れましたが、PICマイコン擁するライバルのMicrochip社に買収されてしまいます。

Microchip社もPIC32(このカーネルもそのうち公開予定)などの32bitマイコンを販売しており、この統合によってこのAVR32は淘汰されてしまいました。

現在Microchip社では、新規設計非推奨の扱いとなっています。

どっかで似たような話を最近書いたような…?

結局、Microchip社のPIC32も思うように販売が伸ばせず、ARMコアの製品ラインを展開することとなります。

歴史の闇に沈んでいったAVR32。

あまり市場に受け入れられなかったのは事実ですが、実際に扱ってみると相当に優れた設計であることが分かりました。

このまま埋もれさせるのは惜しい…。

そこで、この不幸なAVR32に「μITRON4.0」準拠のRTOS(リアルタイムOS)であるTOPPERS/ASPを移植してみました。

せめてもの供養…。

もしかしたら、RTOSがあれば使ってくれる人もいるかもしれない!…そんな思いです。

新規設計非推奨の扱いではありますが、それは仕事で使う上での問題。

市場在庫分を購入して、趣味で使う分には、まだまだ有力なマイコンであると言えます。

その証拠に、秋月電子通商さんでは、AVR32は3種類も!在庫が豊富な状態で販売されています。


●AVRマイコン AT32UC3B0512

●AVRマイコン AT32UC3B064

●AVRマイコン AT32UC3L064


値段を見ていただければ分かると思いますが、高い性能に見合わずとても安いです。

もはや投げ売りです!

特に「AT32UC3B0512」の場合は、同じような性能のSTM32だったら多分1,000円くらいしちゃうと思います。

…まあ、パッケージがQFPなのでハンダ付けは難しいですが。

昨今の半導体不足で入手困難なARM系マイコンの代打として、悲劇のマイコンAVR32の無念を晴らすため(そして僕らの強い味方、秋月電子通商さんの不良在庫処分のため!)、このマイコンで電子工作はいかがですか?


必要なもの

まずは、今回のターゲットとなる「AT32UC3A3-XPLD」です。

こちらでは、まだまだ入手可能です!

6,000円くらいです。

AT32UC3A3-XPLD


次に、デバッガです。

Atmel-ICE」っていいます。

秋月電子さんで16,800円ですね。

高い!…と思われるかもしれませんが、これ一台あるとAtmel系は今回のAVR32やAVRの8bitのシリーズ、SAM(ARM)シリーズのデバッグも出来ちゃいます。

Microchip社のマイコンの中でもAtmel系のシリーズを普段お使いの方は買っておいて損はないですよ。

とはいえ、躊躇する値段ですよね…。

Atmel-ICE


ダウンロード/GitHub

ソースコードの入手は、こちらからどうぞ。

とは言っても、このソースコードをダウンロード、もしくは「git clone」しても、絶対にビルドが通りません。

このソースコードは未完成です。

なぜなら、Microchip社のドライバを後から付け加える必要があるんです。

そのMicrochip社のドライバのライセンスの条項が理解に難しく、公開、および再配布しない方が無難と判断したためです。

ですので、今後この記事では、それらのソースコードの入手方法やコピーする場所などを事細かに書いていくつもりです。

すご~く面倒ですが、お付き合いしていただけると嬉しいです。

ビルドは、まだやっちゃダメですよ~。


このカーネルも実装からかなり時間が経っているので色々忘れてます。

思い出しながら、不足しているソースコードのコピー、開発環境の構築やビルド方法を書いていきたいと思います!


<続く>

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